名古屋大学動物実験支援センターの運営支援業務

名古屋大学動物実験支援センターの運営支援業務

名古屋大学の生物・生体技術支援室は、実験動物施設の管理運営や動物の飼育管理等を支援しています。今回は、東山キャンパスにある動物実験支援センターにおける支援業務を取材しましたのでご紹介します。

動物実験支援センターは特定の病原微生物が存在しないSPF 動物実験施設であり、高品質の動物と実験環境を提供することで、生命科学分野の研究を支えています。環境医学研究に所属する伊藤主任技師・獣医師と森技師は、2015年のセンター設立当初から継続して、施設の保守管理や実験動物の飼育管理をはじめとする様々な業務を担当しています。2016年より千種睦さんが発生工学業務で配置されました(現在育児休暇中)。

私たち取材スタッフは伊藤さんと森さんの案内で実験動物が飼育されているクリーンエリアに入り、施設を見学させてもらいました。入口で良く手を洗いアルコール消毒したら、一人ずつエアシャワーを浴びて更衣室に入ります。滅菌済みの作業服・帽子・靴下・マスク・手袋・サンダルを着用し、手と履物の裏を消毒したら、クリーンエリアに入ります。

マウスやラットの飼育室の前室に入ると、棚に固形飼料や替え床、付箋やペンなどの筆記用具が整然と並べられ、飼育室の扉にもペン立てやメモ用紙がおかれたトレーがマグネットで設置されています。必要な物品を利用者の目につくように配置し、利用しやすい環境を整備することで、良い実験結果を得られるように配慮している、と森さんが話してくれました。飼育室の中には、マウスやラットが飼育されているケージがならび、動物の健康状態や出産などを連絡するカードが貼られているものもあります。ラットが遊んで給水弁から水を外に撒き散らすことがあるそうで、こうしたケージの前にはペットボトルで作製した水受けが設置されていました。

伊藤さんは定期的に行われる微生物検査の結果を常に把握して、施設の衛生状態を管理するとともに、動物の健康・生理状態を観察して、動物の品質を維持しています。獣医師としての専門知識と経験を活かし、研究者が作成した動物実験計画書の審査や、動物実験や飼育に関するコンサルティングも行っています。

森さんは施設の大型設備や動物監視システムの保守管理も担当しています。機械室ある空調設備、蒸気設備、動物用飲水供給システムなど、環境維持に必要な装置の運転状況を定期的に確認して記録し、異常を感知したら対処をしているそうです。

以前は、業務時間外に施設に異常が生じ、通報システムから通知メールが届くと、当番の職員が現場に急行し対応していたそうです。しかし、一昨年、遠隔監視システムと動物の飲水異常通報システムが導入されてからは、外部から監視カメラの画像を確認するだけで済むことが多くなり、負担がかなり軽減されたと話されていました。

担当技術職員の実験動物に関する専門知識や技術に加え、環境をより良くするための創意工夫、動物管理に対する責任感や熱意が、動物実験支援センターの運営を支えていることを、私たちは誇りに思います。

担当技術職員:伊藤麻里子、森ララミ、千種睦

【記事作成・問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 CFA(生物生体,高度専門技術担当)中西 華代,CFA補佐 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください