【記事・動画公開】装置開発技術支援室(理学)の機械工作実習

【記事・動画公開】装置開発技術支援室(理学)の機械工作実習

名古屋大学装置開発技術支援室は、学生・教職員を対象とした機械工作実習を行っています。今回は装置開発技術支援室(理学)の技術職員が、大学院生に工作機械を使った実験器具の設計・製作を指導する実習を取材したのでご紹介します。

 この実習では、受講者が技術職員と相談して設計・製作を行うことで、アイディアを形にすることを体験しつつ、工作機械を安全に操作する技術を学びます。今回の受講者は理学研究科の大学院生2名。実験のために偏光板を二枚並べて光学定盤に設置するためのホルダーを製作しました。

初回、担当技術職員の工藤さんは受講者が持ってきた実験器具の原案をもとに、実験の目的や使い方について尋ね、実際にどのような形にするかを相談するところから始めます。ホルダーの使い方、定盤への設置の仕方、偏光板の取り付け方・外し方などを尋ね、ホルダーをどのような形にするか、金属やゴム、アクリルなど、どの材料を使うのかを議論します。相談に長い時間をかける理由を尋ねると、工藤さんは「自分で考えたものを自分で作り上げる面白さを知って欲しい」と話されました。

今回の実習は、学生の授業と研究の合間を縫って、作業工程ごとに数回に分けて行われました。安全に配慮した動きやすい服と保護眼鏡を着用した学生は、毎回、作業の前に使用する工作機械の構造や機構、安全な取り扱い方法について説明を受け、担当者の指導のもと使い方を練習したのち、実際に加工を行います。工作機械を使い終わった後は、周囲に飛散した切りくずを箒で丁寧に掃除し、装置の点検・整備することを教わりました。

最初の工程では、担当者と受講者が相談して作った図面をもとに、材料となる厚さ10ミリメートルのアルミ板を、工作機械で加工します。コンターマシンと呼ばれる切断装置を、材料の種類と厚さに合わせて調節してから、鋸歯にアルミ板を押し当て慎重に切断します。切り出した板はフライス盤で削ります。切断面を平行・垂直に加工するために、マシンバイスで材料を固定し、エンドミルと呼ばれる刃で最大1ミリメートルずつアルミ板の側面・上面を荒削りします。仕上げに切削面を0.1ミリメートル削り、ノギスで計りながら要求精度の±0.1 ミリメートル以下で指定寸法に合わせました。

次の工程では、機械加工で金属板に下穴を開け、ハンドタップとういう工具を使って手作業でネジ山を切ります。出来上がった部品を超音波洗浄機で洗浄し、加工中についた油汚れを落としました。

最後に、学生自身で作った金属製部品と、担当者がレーザー加工機で切り出したアクリル部品を、図面を確認しながら組み立て、ネジで止めたら完成です。学生は、完成させたホルダーを目の前に掲げ、「おおー、格好いい!」と歓声を上げ、自分たちが考えた実験道具が、実際に形になったことに感動し、満足そうに笑いあっていました。

こうした技術職員による実習や技術指導が既存の実験器具・装置では成しえない先端的な研究と学部・大学院教育を支えていることを、私たちは誇りに思います。

学生に怪我のないよう終始安全に留意した指導を行った担当技術職員、さらに慣れない工作機械を操作して実験器具を作り上げた学生2人もお疲れさまでした!

開催日時:令和5年6月~7月

担当スタッフ:(技術職員)工藤哲也

東海国立大学機構統括技術センター公式チャンネル

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 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 CFA(生物生体,高度専門技術担当)中西 華代,CFA補佐 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください