ご挨拶

ユーザーの皆様へ

新しい「価値づくり」の発信に向けて

東海国立大学機構 機構長補佐

統括技術センター長

佐宗 章弘

東海国立大学機構は2020(令和2)年4月、岐阜大学と名古屋大学が法人統合した組織です。両大学は設備機器をはじめとした研究資源を保有しており、教員や研究者らがその資源を相互に活用する体制を整えることで、単なる2倍ではなく2乗の効果が得られるものと信じます。

今、研究開発は新たな局面を迎えており、産学連携によるイノベーション創出エコシステムの構築が欠かせません。これまでの研究は個人の力に頼ってきましたが、今後は産学双方のさまざまなセクションが協力し、課題に取り組む必要があります。統括技術センターとしては、設備機器の面での支援を充実させることで、経済成長の担い手であるスタートアップを目指す企業・事業の伸展に貢献していきます。

その流れを加速させるため、設備機器などで研究を支える技術職員は、これまで以上に自らのスキルアップに努め、研究者の意図を理解する力を伸ばす必要があります。また、オンリーワンの設備機器を随時導入し、統括技術センターの付加価値を高めます。

技術職員は“匠の技”とも言うべき高度な技術を身に付けていく一方、リサーチ・アドミニストレーターのようなマネジメント力も兼ね備えなければなりません。当機構では、令和3年度の「先端研究基盤共用促進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)」に採択されました。研究者や企業だけでなく、大学や地域をマネジメントする技術職員の誕生が待たれます。

これまで日本の繁栄を支えてきたのは、ものづくりにおける技術力の高さだったと言えます。自動車や航空機、人工衛星、ロケットなどは研究対象としてすでに成熟しており、いずれは研究対象ではなくなるでしょう。次世代の研究は何かをリサーチし、経験値を高めておく必要があります。現代はサービスの時代と言われて久しいですが、「物」がなければサービスは成り立ちません。デジタルトランスフォーメーションが進めば進むほど、物の価値は高まることでしょう。ものづくりの中心地として、東海地区にテックイノベーションの世界的な拠点を確立することにまい進いたします。

企業と新しいシーズを生み出す

東海国立大学機構 機構長補佐

統括技術センター 副センター長

王 志剛

現代は「スピード社会」であり、物事が急速に変化しています。従来の技術やアイデアは、すぐに過去のものとなり、新しい技術や技能が求められます。言葉で言えば簡単ですが、新しいことを生み出すのは困難を伴います。当センターの技術職員は、それぞれが匠の領域に達し、その難しいオーダーに応えていく力があります。

名古屋大学と岐阜大学の設備機器を横断的に共同利用することで、研究基盤の強化を図ることができたほか、低コストで効率的に稼働できる体制を整備し、学内外に研究に必要な基盤のリソースをオープン化しています。

世界は、次の3つのキーワードを軸に、大きな変革の時を迎えています。「新型コロナウイルス感染症」「デジタルトランスフォーメーション」「カーボンニュートラル」です。ライフスタイルの変化、デジタルによる合理化、新材料の開発など、これまでとは違った世界へと向かっているわけです。

そのような時代だからこそ、企業と大学が新規事業を共同で行う意味があります。大学には知識、知恵、設備の8割近くを有しており、世界をリードするための開発スピードを提供することができます。また、国際的なネットワークを使った情報収集でも貢献することができます。

実は、企業からもたらされた社会ニーズは、大学の最先端の研究につながるものです。また、最も貴重なのは、企業は大学とは違った目線で社会ニーズを捉えている点です。企業と大学が一緒に社会ニーズを検討し、新しいシーズを生み出していく姿がベストな形です。

また、これからの時代を見通し、基盤的な研究設備の導入などを行うコアファシリティアドミニストレーターの育成が急務です。研究と技術と設備をつなぐ重要な役割を担う中核的な人材であり、当センターの競争力を高めると考えます。

最後に、技術職員はさまざまな研究に携わり、研究の具現化に力を尽くしています。研究者と技術職員、コアファシリティアドミニストレーターがワンチームとなり、地域から選ばれるよう努力していきます。