【技術支援事例紹介】「ガラス理化学機器の修理」

【技術支援事例紹介】「ガラス理化学機器の修理」

 このたび、岐阜大学の先生から名古屋大学へ両大学間では初となるガラス加工技術支援の依頼がありました。両大学の技術交流の試金石となればとのお心遣いもあってのご依頼でしたが、担当スタッフの技術力と誠意を高く評価していただける好事例となりましたので、ご紹介いたします。

 依頼内容は、破損したパイレックス製クロマトグラフ管2点と分液ロート1点の修理でした。
クロマトグラフ管の1つはコック近傍の細い部分が折れ、もう1つは上部パイプの半分以上が欠損した状態。分液ロートは、ナス型容器に1 cmほどのひびが入り、コックの先のパイプが欠けていました。業者さん曰く修理は難しいとのことでしたが、依頼者は、高価な実験器具を捨てるのが忍びなく取り置いていたそう。
「破損部分がコックのごく近くの場合、修理で上手くつなぐことができたように見えても、実際は歪みが生じて使用時に液漏れする場合がある」と依頼品を確認した担当スタッフより説明がありました。

 ガラス器具の修理は、素人が考えるよりも手間が掛かり、必ずしも安価ではありません。今回は、依頼者の「急を要していない」「新品を購入するのと比べた費用対効果を考えたい」2点の要望をくみ取り、何度かメールで支援内容を確認し内容に納得いただいた上で修理に臨みました。

「研究者の役に立ち、喜んでいただける技術支援の提供のため、依頼内容を理解しさらにより良い提案もできるよう努めています」とは、今回支援を担当したスタッフの言葉です。修理後に状態を確認した依頼者からは、「本当にきれいに直っていますね。こんな狭くて操作しにくく壊れやすい部分をここまで完璧に修理できるのはこの技術力に本当に驚嘆します。修理の跡が分からないくらいに滑らかです。」と笑顔でコメントをいただき、仲介役である私たちも大変うれしい限りです。

 今回のようなガラス加工・修理のみならず、目下のお困り事ももしかしたら技術支援で解決するかもしれません。
 ぜひ、お気軽にご相談ください。

〈参考〉
・今回の修理品を買い替えた場合の参考価格 \ 46,000~

・技術支援での修理費用(¥6,000) + 往復送料(¥3,000)= ¥9,000 (買い替え価格の約20%)

今回の依頼者:岐阜大学工学部化学・生命工学科 纐纈守先生

取材にご協力いただき、誠にありがとうございました!

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破損したクロマトグラフ管(1)
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ガラス器具修理のための打ち合わせ
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破損したクロマトグラフ管(2)
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新品同様に修理されたクロマトグラフ管

【記事作成・問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 CFA(生物生体,高度専門技術担当)中西 華代,CFA補佐 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください