【開催報告】核磁気共鳴装置高度技術職員セミナー(2022年2月15日,2月16日)

【開催報告】核磁気共鳴装置高度技術職員セミナー(2022年2月15日,2月16日)

 


2022年2月15日(火)、2月16日(水)に、コアファシリティ重点運用機器である核磁気共鳴装置を対象とした高度技術職員研修を行いました。コロナ禍ということもあり残念ながらごく近隣の関係者のみを受講者としての開催となりましたが、核磁気共鳴装置に優れた技術と知見をお持ちの大阪大学理学研究科・理学部 分析機器測定室 技術専門職員の稲角 直也 博士と東北大学総合技術部 技術専門職員の安東 真理子 氏を講師としてお招きし、技術職員にとって大変優れた貴重な情報を共有できた研修となりました。

安東講師による講義では、深い経験をお持ちのJEOL製核磁気共鳴装置を中心として、装置の機能特性、様々な特性を有するプローブの説明や測定事例をご紹介いただきました。安東講師は、燃料電池電解質をはじめとする固体材料の先端的な分析の経験を7年以上積んでおり、他にも粉砕や煆焼による相転移・再結晶といった試料調整方法や電気伝導性材料の酸素欠陥構造の解析法、爆発性試料を扱う際の安全対策についてご説明があり、受講者は熱心にメモを取って聞き入っていました。また、ソフトウェアを使用したスペクトルのフィッティング手法についての講義では、測定データの処理方法やフィッティング結果の分析について、受講者から様々な質問や相談が寄せられていました。

稲角講師による講義では、高分子ポリマーの溶液、ゲル状試料を対象とした固体核磁気共鳴測定の試料調製、測定手法について、経験に基づいた緻密な手法をご教示いただきました。また、安全性にも配慮した作業時の注意事項やアドバイスが講義を通じて伝えられ、受講者は熱心に説明を聞き入っていました。更に、同じ試料を固体NMRと溶液NMRの両方で測定したデータを示し、結果を比較することで2つの測定手法の違いや特性についても解説していただきました。実機に関する解説ついては、CP-MASプローブ、HR-MASプローブの特性やスペクトルを得るのに適したパルス長・パルス幅などのパラメータの検討方法、データ解析によって重なったピークを分離する方法について講義していただきました。

今回の講義によって、受講者の核磁気共鳴装置を使用した分析技術は大きく向上したと思われます。核磁気共鳴装置はライフサイエンス、マテリアルサイエンスを問わずさまざまな研究分野で用いられる汎用的且つ重要な実験手法であり、今後も優れた研究成果創出をアシストするための人材育成を継続して参ります。

【講師紹介】

稲角 直也(※大阪大学理学研究科・理学部  分析機器測定室長,技術専門職員,理学博士)
現在は大阪大学にて、固体NMR及び溶液NMR計10台の整備・運用を担当している。大学の研究支援業務以外にも、企業からの依頼測定受託や共同研究にも積極的に参画し、大阪大学の研究力強化、産学官連携等に大きく貢献している。

安東 真理子(※東北大学総合技術部 技術専門職員)
東北大学工学研究科で燃料電池電解質等をはじめとする固体材料を対象とした構造・物性分析を7年以上にわたり経験。大学連携研究設備ネットワーク人材育成事業や数多くの分析機器セミナーで講師を担当するなど、大学等の技術職員の人材育成分野でも多大な貢献をしている。

(順不同 敬称略) ※コアファシリティ構築支援事業第2期採択校

【問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 総括CFA(総括,戦略担当) 髙濵 謙太朗,CFA(渉外調整,組織間連携担当) 金子 靖
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください