フィールド実習支援「ブドウの花房のジベレリン処理」

フィールド実習支援「ブドウの花房のジベレリン処理」

名古屋大学大学院生命農学研究科附属フィールド科学教育研究センター東郷フィールドでは、フィールド技術支援室の技術職員が、学生の実習や研究に必要な農作物の栽培育成を担当しています。この日は、フィールド実習として学生が農場のブドウ園で育てられた花房(かぼう)にジベレリンの浸漬(しんせき)処理を行う様子を取材しました。

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初めに、開花したブドウの余分な房や主房の隣に出た副房を取り除きます(=摘房(てきぼう))。同時に葉のすぐそばにある脇芽も取り、枝が混みあってしまうのを防ぎます(=芽かき)。この実習時は、よく晴れ充分な風もあり、ブドウの葉で影もできていたため非常にさわやかでしたが、作業中はずっとブドウの枝を見上げ腕を持ち上げて作業するため、肩が少し疲れた様子の方もいました。ある学生は、果樹につく害虫調査の課題のため、摘房作業をしつつ木の周りを飛ぶ虫を撮影していました。技術職員の田原技師は、害虫の一つとしてカミキリムシを挙げ、幼虫が木に巣くって枯らされないよう見つけたときは針金でつついて駆除するのだと教えてくださいました。

摘房と芽かきが終わったら、いよいよジベレリンの浸漬です。まず、果樹の担当に着任したばかりの加藤技術職員が、教員や先輩職員の田原技師に見守られるなか、学生にジベレリン処理の目的や作業の方法についての説明を行いました。

ジベレリン溶液には食紅が加えてあり、これにより処理された房とされていない房を見分けるのが容易になります。傍目には、まるでブドウジュースにブドウを浸しているような光景です。技術職員も教員も学生も手や手袋を紅色に染めながら黙々と作業を進めていました。また、この作業も摘房の作業と同様、すべて手作業で行いますが、扱うものが液体のため摘房よりも少し不自由さを感じる作業に見えました。そうして、この日予定していた房がすべて浸漬されたら、実習は完了です。

普段おいしくいただいている種なしのブドウを得るためには、このような手間がかかっているとは、個人的にも大変学びになる取材となりました。

研究や学生の教育のため、東郷フィールドで毎日人知れず動植物の管理を行う技術職員がいることに私たちは感謝と誇りを感じています。

担当スタッフ:(技術職員)田原保樹、加藤舞

【記事作成・問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 広報担当 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください