【開催報告】中学生が東郷フィールドにて職場体験学習を行いました(2022年9月15日~16日)

【開催報告】中学生が東郷フィールドにて職場体験学習を行いました(2022年9月15日~16日)

令和4年9月15・16日(木・金)名古屋大学農学部付属農場(東郷町)にて、近隣の諸輪中学校の生徒5名の職場体験が行われました。今回は、技術職員の吉村文孝技師と河野吉樹技師の指導のもと、黒毛和牛とシバヤギの飼育・管理業務を体験しました。牛の捕獲、ロープを用いた柵への保定、ブラッシング、給餌、直腸検査、シバヤギの削蹄、体重測定と栄養状態(ボディコンディションスコア)の測定など、内容は盛りだくさん。日差しに恵まれ暑い中、生徒たちは汗を流して懸命に業務に取り組みました。

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実習一日目は牛の給餌からスタート。担当スタッフが、牛たちは強い順に上下関係を築いていること・上位の牛が下位の食事を妨げることがあること・それにより下位の牛がエサを食べ損ねないよう注意が必要なこと等を説明しました。スタッフの指示のもと、牧草を円筒形に固め発酵させた飼料(サイレージ)をスコップでほぐし、エサ入れの前に均一に分配します。牛たちがエサ入れの前に並んだのを見計らい、皆で一斉にエサ入れに入れると、牛たちの食事が始まりました。生徒たちは牛がエサを食べる姿を観察しつつ、恐る恐る頭を撫で、牛との触れ合いを楽しむ様子を見せていました。

次は牛舎に入りブラッシング作業。牛を柵に繋ぎとめるためにロープの結び方を教わり、何度も練習します。上手く結べるようになったら、いよいよ2グループに分かれて牛の捕獲です。牛を怖がらせないよう静かに近づき、鼻環 を掴んでロープを括り付けます。柵のごく近くに繋ぎたいのですが、牛が抵抗するので中々柵に近づけません。スタッフに助けてもらい牛を柵に保定すると、蹴られないよう注意しながら専用の金属製の櫛で体表の汚れをゴリゴリと落としていきます。豚毛ブラシで細かい汚れを丁寧に取り除いたら完了です。生徒たちは汚れが取れすっかり綺麗になった牛の体を優しく撫で、満足そうに眺めていました。

午後はヤギの爪(蹄)切りを行いました。東郷フィールドのヤギ舎で飼育されているシバヤギは、体重20~40キログラムの小型の日本在来種です。ヤギを捕まえ横向きにし、片足でヤギの動きを封じる方法を教わると、柵で囲まれた放牧場を逃げ回るヤギの捕獲に取り掛かりました。最初は抑え込みが甘く直ぐに逃げられていましたが、慣れると捕獲したヤギの頭や体を優しく撫でながら話しかける余裕が出てきました。スタッフがヤギの削蹄バサミを生徒に渡し、蹄の構造を説明しながら蹄切りを指導します。ヤギの足をつかんで蹄の伸びた部分を切り落とし、四肢全ての裏面を平に整えたら 、一頭分の作業が完了です。蹄を切っている生徒に話しかけると、「動物は大好きです!」と笑顔で答えてくれました。

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実習二日目午前、中学校の担当教諭が生徒の様子を見に牛舎を訪れました。一日目の体験終了後、グループリーダーの生徒から「私たち、このプログラムに向いています!」と報告があったことを話し、担当スタッフに感謝の意を伝えてくださいました。 前日同様、牛の給餌から始まりましたが、生徒が1頭の牛がエサ場とは反対側の柵に頭を突っ込み抜け出せなくなっていることを発見し、餌を食べ損ねる危機から救いました。牛がエサを食べる間は、牛の体調に異変は無いか、元気はあるかをよく見ておくよう、一日目にスタッフに言われたことをしっかり覚えていました!

二日目午後は、生命農学研究科の松山准教授と学生3名の協力のもと、牛の直腸検査を体験しました。松山先生が牛の立体模型を使い、雌牛の生殖器の構造と直腸検査について説明して下さいました。検査では直腸に片腕を挿し込み、直腸壁越しに子宮から体腔内にぶら下がっている卵巣を触診します。説明後、保定枠に牛を保定する作業を手伝いました。二日目というのもあり、前日とは見違えるスピードで目標の牛を捕獲していました。学生が直腸から糞を一通り掻き出してから、生徒たちが卵巣を触診します。飛び散る糞尿で汚れるのを恐れながらも、熱心に学生の説明に耳を傾け、検査に見入っていました。自分たちが検査する段階になると及び腰になり、じゃんけんで負けた生徒から恐る恐る検査に挑戦することに。しかし、学生に助けてもらって直腸に片腕を差し込むと、どの生徒も子宮や卵巣に触れようと必死に腕を動かしていました。

今回実習に協力した東郷フィールドの教職員・学生の方々は、参加した生徒が職場体験学習を通して、研究農場での仕事の大切さや苦労、やりがいなどを実感するとともに、この体験が将来の仕事について考える好機になることを願っています。
松山先生と学生の皆さん、ご協力ありがとうございました。そして、二日間の充実したプログラムを提供し、地域貢献に尽力された技術職員の吉村さん、河野さん、お疲れさまでした!

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開催日時:令和4年9月15・16日(木・金)9~15時

会場:名古屋大学大学院生命農学研究科付属フィールド教育支援センター東郷フィールド
担当スタッフ:(技術職員)吉村文孝、河野吉樹
直腸検査協力:(生命農学研究科動物生産科学研究室)松山秀一准教授、研究室の学生3名

【記事作成・問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 CFA(生物生体,高度専門技術担当)中西 華代,CFA補佐 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください