【記事・動画公開】マーマレードジャム製造実習

【記事・動画公開】マーマレードジャム製造実習

岐阜大学柳戸農場では、技術職員が実習を担当しています。実習課題は、前後期を通して動植物の生産から利用までの一連の過程です。今回は、応用生物科学部生産環境科学課程1年生を対象としたフィールド科学応用実習課題の一つ、マーマレードジャム製造実習を取材しました。実習は、技術職員が指導要領の作成・準備・実施を主体的に行い、学科教員が見守る体制で運営されます。学生約80名が4グループに分かれ、試験林、圃場、畜舎、食品加工施設等で課題に取り組みます。

午後1時過ぎ、作業着姿の学生が食品加工棟に続々と集まってきます。外履きから備え付けの長靴に履き替え、玄関先の水場で丁寧に手洗いをします。清潔な白衣、長靴、帽子、マスクを着用し、粘着ローラーで着衣の塵や埃を取り除いたら、食品加工室に入ります。担当スタッフが学生の出欠を取りながら健康状態や怪我の有無を確認し、実習手順の説明が終わったら、いよいよ実習開始です。オレンジ20 kgから、オレンジマーマレード160 gを100個以上作ることができます。

marmalade01
marmalade02

学生は青色のニトリル手袋をはめ、包丁を手に取ると、外皮の傷や洗ってもとれない汚れを丁寧にそぎ落としていきます。綺麗になったら十字に切目を入れて手で皮を剥き、果肉と分け、果肉は輪切り、皮は千切りにします。一心に皮を千切りにしている学生に尋ねると、「実習は楽しいです。授業の中で一番好きかもしれません。」と答えてくれました。

室内にオレンジの爽やかな香りが立ち上る中、3名のスタッフが手分けして、実習を進めます。輪切りした果肉を布袋に入れ圧搾機の中に並べ、よく洗った台木を袋の上にくみ上げます。その上に抑え盤をセットして、機械のスイッチを入れ圧力をかけていきます。圧搾機から湯気を立てて果汁が出てくると、周囲に学生が集まりその様子に見入っていました。

marmalade03
marmalade04
marmalade05

スタッフが搾り袋から搾りかすを回収し、ジャムのとろみ成分ペクチンを抽出するために、水とクエン酸を加えて煮出し、圧搾機で搾ります。抽出したペクチン液と果汁を合わせ、熟練のスタッフが蒸気鍋で煮詰めていきます。この様子を熱心に見ていた若いスタッフが、「適度な濃度に煮詰めるには経験と技が必要なのです。」と話してくれました。

この液が煮詰まったら、3回茹でこぼして苦味を除いた皮と砂糖を投入し、焦げ付かないようかき混ぜながら、さらに煮詰めます。途中何度か、ブクブクと煮立つジャムをカップにとって、糖度計とpHメーターで値を確認します。ジャムの糖度が65%以上、pH が3.0前後、温度が104℃に達したら完成です。

温度を保ちながら、スタッフが瓶にジャムを詰め学生に渡します。学生は片手に軍手をはめ、熱々の瓶にキッチリと蓋をしたら、蓋の内側を余熱で殺菌するために、上下逆さまにして並べていきます。各学生が一瓶一瓶を目視で確認し、手袋の破片やごみ等の異物が混入していないか、確認します。検品が終わり、後かたづけを済ませたら実習は終了です。

3名のスタッフが、【学生の指導と安全確認】【次の工程の準備】【後片付け】を分担して手際よく行う、チームワークの良さが目を引きました。担当スタッフは、今回の実習を通して学生が食品加工に興味を持ち、食品科学や衛生安全について理解を深めてくれることを願っています。

また、本学生実習で製造されたマーマレードジャムは、柳戸農場フィールドセンター管理棟1Fの販売所にて1個370円で販売されています。ご興味のある方は是非お試し下さい!

担当スタッフ:本多陸、細江重男、馬田朋子

 東海国立大学機構統括技術センター公式チャンネル
 https://www.youtube.com/channel/UCb9eH8y5HUzQzceYyyfjSxA

【記事及び動画作成・問い合わせ先】

 国立大学法人 東海国立大学 統括技術センター
 CFA(生物生体,高度専門技術担当)中西 華代,CFA補佐 松浦 彩夏
 cfa[at]tech.thers.ac.jp ※[at]を@に変えてご使用ください